隠し場所




 ドライブといえばクルマの運転ですよね。ドライブ・インとかドライブ・マップ、最近ではドライブ・レコーダーとか。ハンドルをくるくる回すからドライブというのだと思っていました。車の運転手はドライバーですから、ねじ回しからの着想でしょうか。それにバレーボールや卓球の回転をかけたドライブ・サーブとか、野球でも打球にドライブがかかっているとか言うし。ゴルフはドライバーで打つと球に回転がかかって遠くに飛ぶのでしょうか?

 コンピューターにもドライブがあります。補助記憶を動かす装置のことです。補助記憶というのはコンピューターの方から見た表現です。コンピューターはセンターの演算装置(CPU)が隣の主記憶のデータを演算処理します。コンピューターの反対側にいる人間側からは、キーボードからデータと計算手順を主記憶に入れてやって、計算手順を実行させて演算処理の結果をディスプレイに表示させます。これで一応コンピューターは成立ちます。

 主記憶は電子回路で作ってあります。ですから電気の供給が途絶えると記憶を失います。となると電源をいれてコンピューターを動かすたびに、キーボードからデータとプログラムを入れなければなりません。それならば、電気が無くても記憶を失わない装置があって、そこにデータやプログラムや結果を記憶させて、コンピューターを使う時に取り出して主記憶に入れてやろうというので、その役目をするのが補助記憶です。

 電気なしで記憶するのは磁石です。ビデオテープでおなじみですね。テープを円盤にしたのが磁気ディスクです。この円盤はぐるぐる回転していますからドライブとは回転させる装置だと思い込んでいました。

 1台のパソコンにいくつものドライブをつけられ、順にアルファベットでAドライブ、Bドライブ、Cドライブ、…と記号化されます。ウィンドウズの「PC」か「コンピューター」を開くと、つながっているドライブを表示しますので見てください。え? Aドライブが無い、Bドライブも無いぞ? そうですね、ありません。AとBはフロッピーという磁気ディスク専用で、昔の名残です。今日ではハード・ディスクという磁気ディスクにとってかわっていて、これがCドライブです。次のDドライブはDVDかCDです。

 パソコンの電源を入れたとき主記憶は記憶を失っています。Cドライブのハード・ディスクからプログラムを取り出して主記憶に入れ、そのプログラムに従って動き始めます。そして私たちが作った文書も同じハード・ディスクに記憶します。ですから、ハード・ディスク内はウィンドウズのプログラムと私たちが作ったデータが同居しているのです。

 補助記憶の中ではプログラムもデータも「ファイル」という形式で記憶します。すべてのファイルに名前がついています。が、ウィンドウズを動かすプログラムだけでも数万のファイルがあります。同じ名前はつけられません。そこで仕切りを設けてファイルを分類して記憶させています。この仕切りを「フォルダ」と呼んでいます。フォルダの中をさらに仕切って細かく分類しています。どのフォルダにも名前がついています。とあるデータがどこに記憶しているかは、どのドライブのどのフォルダのその中のどのフォルダになんというファイルか、ということになります。

 ウィンドウズは私たちが作ったデータを“記憶”するとは言わず“保存”すると表現しています。ワープロソフトのワードでつくった文書は「ドキュメント」というフォルダに保存します。ドキュメントはウィンドウズが用意したフォルダで、Cドライブの中の数あるフォルダのひとつです。保存するフォルダを「保存場所」と呼んでいます。

 そうそう「デスクトップ」はあたかもパソコンの頂上のようですが、これもCドライブの中のフォルダのひとつです。パソコンはデスクトップのフォルダの中のファイルの名前を画面いっぱいに配置して表示しているのです。画像を背景にあしらい、ファイルの名前に絵をつけて、見栄えよくして。でもそのフォルダがドライブのどこにあるか、わかりずらいのです。隠しているわけではないでしょうが。

 ハード・ディスクのデータは隠し切れません。もしどうしても見られたくないなら、ハード・ディスクを破壊するのが手っ取り早いですね。どこぞの代議士が会計のデータを保存していたパソコンのハード・ディスクを電動ドリルで穴を開けて破壊しました。選挙違反容疑をうやむやにするためだとか。やりますねぇ。

 そんな無茶をするぐらいならUSBメモリーを使いましょう。パソコンに差し込むとDドライブの次のEドライブになります。ここを保存場所にするのです。ワードで文書を保存するときに、ドキュメントではなく「Eドライブ」を指定するだけです。いざとなる前にUSBメモリーを抜いてどこぞに隠匿!!

 USBメモリーも補助記憶ですからドライブです。電子を隔離して電気の供給が無くても記憶を失わないという理屈。ですからこの製品はどこも回転しません。そもそもドライブには回転の意味はぜんぜんありません。“駆動:動力を与えて動かすこと(広辞苑)”でした。




ハード・ディスク(HD):磁気を記録する円盤が金属で硬い
フロッピー(FD):ビニールに金属を塗布した円盤 ふにゃふにゃ
DVD、CD、MO:レーザー光の反射の有無で記録

ドライブ【drive】
日語外来語辞典1982⇒駕駛 中国語インターネット用語集⇒駆動
広辞苑⇒コンピューターで、磁気ディスクなどの駆動装置。日本工業規格(JIS)用語⇒記載なし?

私のパソコンのハード・ディスクには、83,000のファイルと、7,000のフォルダがありました

例えば「メモ帳」というプログラムは、Cドライブの中のフォルダwindowsの中のフォルダsystem32の中のファイルnotepad.exeに記憶しています。

代議士:群馬県選出の小渕優子氏



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