入力機器




 電車やバスに乗ったら、駅で買った新聞を読んでいるか、ぼうっと窓の外の景色を眺めているのが好きなのですが、周りを見ると皆さんスマホをやっていますね。動画を見てたり、ゲームに興じていたり…。なかにはメールをやっている方もいらっしゃいます。その手つきの速いこと!! びっくりです。指がすべるようにパッパッパッと動いて、文章がサッサッサッと出てきます。いやぁ、お見事!!

 スマホ(スマート・フォン)は超小型のコンピュータに電話を付け加えたものです(コンピュータ屋から見ればです)。メールをやるには「メールを開け」とスマホに命令します。「メール」のアイコンをクリックいやタップすることがその命令で、メールの画面が開きます。文章をサッサッサッと入れ終ったら、「送信せよ」の命令は「送信」のアイコンです。コンピュータはいちいち命令しないとプログラムが動きません。そしてプログラムが終ると「送信しました」のメッセージが画面に出てきます。命令を入れるとその答えを返すがコンピュータの基本パターンです。命令して答えさせる。スイッチを入れれば番組(プログラム)が勝手に流れてくるテレビ・ラジオとは違うところ。

 その昔の大型コンピュータはコンソールで命令を入力して回答を得ていました。英文タイプライターのうような機械で、手前の鍵盤で命令を入れると向う側の紙に回答を打ち出します。パソコンになると、鍵盤部分がキーボードになり、紙の代わりにモニター画面になりました。一番下の行に命令を入力するとパソコンからの回答は行をくり上げて一番下の行に出てきます。このころのモニターは文字しか表示できないものでした。

 カラーの細かな絵を表示するモニターとマウスでパソコンは変身しました。命令は画面のアイコンをクリックするだけ、スマホも同じくタップするだけになったのです。やり方はスマートになっても、命令して回答させるというコンピュータの基本は変わりません。

 もうひとつパソコンを変身させたのはカナ漢字変換です。コンピュータへの命令はアルファベットですみますが、メール文は日本語の文字です。電車の中でスマホでメールしている方はこのタイプがもの凄く速い!!

 コンピュータへの命令はアルファベットを、データは日本語文字を入力するので、別のキーボードが要ります。ところが、戦前・戦中は知りませんが、戦後のローマ字教育を受けた私たちは英字のキーボードを苦にすることはありませんでした。アルファベット→→ひらがな→→漢字と二段変換して日本語文字を入力したのです。えらいもんです。

 でも、指で打ち込むキーボードは手元で、文字を表示するモニター画面は向う側ですから、視線は手元に来たり向こうに行ったりです。そこで手元のキーボードはを見ないで画面を見たままでタイプするブラインド・タッチを習得するハメになります。見ないでもすむように【F】と【J】のキーには指で触ってわかるようなポッチがついています。

 スマホはキーボードがありません。画面に直接タッチします。まず画面に「あかさたな…」の子音10文字があらわれ、たとえば「あ」をタッチすると「いうえお」の文字もあらわれ、いずれかをタッチするとその文字が入ります。と同時に変換予測の漢字の候補リストも出るので、それをタッチすれば入力OK。ローマ字もいらない便利な機能です。

 画面に直接タッチしているのがポイントです。画面は小さいし、文字のキーとメール文が離れていませんから視線をほとんど動かさないですみます。ですからスムーズに入力できます。パソコンにこの入力機能を組み込んだとしましょう。画面は大きいし、身体から離して立てていますから、腕を前にうんと伸ばして画面にタッチすることになるので、すぐに肩が凝ってしまいそうです。スマホは小さな画面を逆に上手に使っているんですね。

 音声入力ができるスマホも登場しています。「会社に電話!」とやると会社に電話がかかるとか。漫画で見たシーンが現実になってます。スマホへの命令だけでなく、メールも音声で入力できるのかしら。だとすると「会社へメール! メール文! おはよう……」なんて、朝の電車は賑やかになりますかねぇ。マナー違反かな? 職場ならパソコンを音声入力にして、みんながマイクに向かって「ボソボソ……」とつぶやく、なんてことになる? こんなシーン、怖い小説にあったなぁ。

 将来はサイコ入力かな? ヘッドギアをつけると、念じた文章がそのままコンピュータに入る……………。 ゾクッ!




速い!!
テレビゲームの呪文をコントローラからタイプしていた子どもたちの手つきももの凄く速かった。

コンソール
今のパソコンでも体験できます。[アクセサリー]にある[コマンド プロンプト]を開いてみてください。真っ黒な画面が出てきて、白い文字が表示され、タイプ位置がチカチカしています。命令を待っています。“dir”という命令をタイプして【Enter】キーを押すと、直ちに回答のファイル一覧を表示します。そして次の命令を待っています(終了するには“exit”と命令してください)。

キーボード
日本語文字入力用にいろいろなキーボードが考案され商品にもなりましたが、いずれも手元にキーボードで向う側に画面の構成は同じですから、ブラインドタッチがやり易いというだけで、流行りませんでしたね。

小さな画面
携帯電話の場合は、小さいとはいえ文字のボタンと画面がやや離れていますから視線がいったりきたり。ブランドタッチができるように小さなポッチが【5】ボタンについています。

スマホの入力方式
フリック方式と言うそうです。
パソコンの画面を水平にして手元に引き寄せて入力すればいけるかもしれません。大型のタブレット・パソコン?

音声で命令
漫画や小説でも、映画やドラマでも、たくさんあります。
怖い小説はジョージ・オーウェルの「1984年」

サイコ
サイコキネシス【psychokinesis】距離をおいて精神力で物を動かしたり変形したりすること。念動。【広辞苑】



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