たられば 人間の頭を太陽だとすると、地球は30メートルほど先の2、3ミリの砂粒ということになります。私の頭が太陽でも私の眼では地球を見つけられないでしょうねぇ。そんなに離れた小さな地球の表面を太陽の力で熱してもマイナス19度にしかならないそうです。それなのに地表が、たとえば日本列島あたりで20度と暖かいのは、地表が大気に覆われていて、そこに水蒸気が混じりこみ、温室効果をもたらしているからだそうです。 昨今の温暖化問題は地表の二酸化炭素が増えて、二酸化炭素による温室効果が増しているからと言われています。何十億年前に地球が出来たあと、大気中にどれだけ二酸化炭素があったのでしょう? やがて植物が生まれ、大気中の二酸化炭素を光合成で炭素と酸素に分解し続けてきましたので、大気中の酸素濃度が増え、酸素呼吸をする動物が生れ、人間に進化したとのことです。せっかく植物が何億年もかけて大気中の二酸化炭素を薄めてきたのに、人間が工業を興して地中の石炭・石油などを燃やすという経済活動を始めたので大気中の二酸化炭素の濃度があがり、温室効果が増して地表が温暖化している、というわけです。江戸時代までは、樹木を焚き木にして燃やして燃料にしていましたから、二酸化炭素の濃度はあがりません。だって焚き木はさっきまで光合成で大気中の二酸化炭素を薄めていたからです。 さて、温暖化でどのくらい地表の温度が上がるのか、世界のあちこちの研究機関がコンピュータで計算しています。気温、水蒸気の量、二酸化炭素の濃度と排出量などなどから、たとえば5秒後はどうなるかを計算します。エネルギー保存の法則とかボイルシャルルの法則とか、中学・高校で習ったいわゆる物理学の法則を駆使してプログラムします。あっという間に計算するでしょう。そしたら5秒後の結果をもとにさらに5秒後を計算し、その結果をもとにさらに5秒後という具合に繰り返していきます。コンピュータが得意の力わざです。 とはいえ実際に計測した値と計算の結果は一致しません。ありとあらゆる要素を計算に加えているわけではないので当然です。そこで、計算結果の傾向をみて、結果に下駄をはかせて補正します。 地表全体の気温を計算するとなると、いろんな地点について計算要素と下駄をインプットして計算することになります。地点が100キロメートル四方ごとなら、地球の表面積から約5万地点。平野であったり砂漠であったり海上であったりするのでそれぞれの地点の計算要素も下駄も異なりプログラムも異なります。つまり5万本のプログラムが要ります。計算する量は膨大になります。5秒後を計算するのに5秒かかっては意味ありません。パソコンでは無理ですが、「2位ではいけないのですか」と評判になったスーパーコンピュータならやるでしょう。実際やっているそうで、計算だけでひと月ぐらいかけて100年後の結果をだしているとか聞きました。でも、ここまでやっても誤差が積りますので、結果は何度ぐらいという予測≠ナす。 ここからたられば≠ェ入ります。人間の経済活動で二酸化炭素の排出を増やすのか、あるいは抑えるのかで、計算要素が違ってくるので結果も異なります。排出量が増えたら、抑えれば、などいくつかの場合を想定して、それぞれの場合で計算し、何度ぐらいから何度くらいと幅を持たせた予測≠ノします。 さらに、噴火とか地震とか何年に一度の地球内部の活動を… 計算要素には入れないでしょう。地球の将来ではなく「人間の経済活動が地表の温度にどう影響するか」を予測するのが目的ですから。この先はもう神の領域、実際にどうなるかは100年たたないとわかりません。 経済活動といえば『○○費を××円とはじき出した』というような表現がマスコミにはよく出てきます。『原子力発電所を停めた場合の家庭の電気代』がそうですが、どんな計算をしているんでしょう? 火力発電所で使用する燃料費の相場価格をもとに計算しているだけでしょうか? もっと計算要素を盛り込んで、温暖化のように予測≠計算してみてはいかがでしょう。スーパーコンピュータは一番を目指して性能はあげているようですし。
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