コミュニケーション



 かつて「電気通信科」で学んだ同僚がいました。「電気通信科」のイニシャルは“C”だというので、コミュニケーションかとたずねると、ケーブル“C”だとのこと。なるほど電気通信には電線(ケーブル)ですよねぇ。1930年の世界恐慌のころを題材にした映画ではワイヤー(Wire:針金)でした。

 今から300年ほど前、江戸城で殿がご乱心。事件を国元の赤穂に知らせるのに3日ほどかかったといいます。江戸詰めの藩士が早駕籠を乗り継いだのです。国元の家老が知らせを受けたとき、殿はとっくに切腹になっていました。江戸から赤穂までおよそ600km。現在は東京から姫路まで新幹線で3時間ちょっいと。知らせるだけなら電話がありますね、赤穂でも瞬時に連絡できます。

 平賀源内がお遊びしていたエレキテルを、ボルタが電池に押込めたので電気の性質がわかり、モールスの電気通信(電信)が始りました。明治維新で政権をとった政府は電信にも熱心だったようで、維新16年後の秩父事件では蜂起した農民たちが電信柱を引き倒したとあります。130年前ですか。

 そうそう、私は「電柱」とは言わず「電信柱」と言ってました、電気屋の子倅なのに。電力柱とも電灯柱とも言ってません。道の端に立っているのは電気通信の電信柱なのでした。秩父に限らずコミュニケーションが先でエネルギーが後回しだったのです。もっとも、そのころ発電所は出来たばっかりでした。

 電信を電話したのがグラハム・ベルでした。秩父事件のころです。マルコーニが無線通信を実証して、世界で最初にSOSの無線電信を打ったのが100年前のタイタニック号でした。そのあと、ラジオ、テレビと一方通行の放送というところで通信技術は身近なものになってきました。戦後になると双方向通信の電話も普及しました。

 いっぽう、コンピュータは名の通り計算機だったのです。電卓から発展したパソコンもまずは計算、そしてハードディスクが登場するやデータ記憶装置となり、社内や学校内などのパソコンどうしを繋いでデータを共有するようになりました。ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)ですね。このネットワークどうしを電話の回線を使って繋いだのがインター・ネットです。

 メールのやり取りとホームページの閲覧ができるようになりました。阪神大震災のころはホームページの電話帳(イエローページ)を購入して、"http://www.…"とアドレスを直接入力してはあちらこちらのホームページを見ていましたが、グーグルやヤフーなどの検索サービスでホームページを探せるようになりました。さらに、ツイッター、フェースブック、ライン、…、…、…などなど。今やパソコンはすっかり通信機です。

 ところで、通信が目的ならパソコンよりもスマホ、タブレットですよねぇ(ガラ携だって)。コミュニケーション・ツールとか呼ばれて、今や主役です。

 インベーダー・ゲームをご存知の方、パソコンが流行る前でしたよね。宇宙人を打ち落とすゲームです。このゲームを評して「なんでいきなり打ち落とすのよ。友好を求めてやってきたかもしれないじゃない。まずは話し合いでしょう」とおっしゃった方がいました。そうですよね、集団だ個別だ自衛権がうんぬんかんぬんするよりも、どうやって話し合いができるようにしておくか、じゃないでしょうか。コミュニケーション・ツールが溢れているんですから。そろそろ道具を使いこなしましょうよ。監視装置に転用ばかりしていないで。



ワイヤーの映画

スティング(The Sting 1973)

乱心の殿
浅野内匠頭(たくみのかみ 1667〜1701)
国元の家老
大石内蔵助(くらのすけ 1659〜1703) ご存知、忠臣蔵

平賀源内
江戸中期の博物学者・戯作者(1728〜1779)

ボルタ
イタリアの物理学者(1745〜1827)

モールス
アメリカの画家・発明家(1791-1872)

秩父事件
埼玉県の秩父で起こった住民の一斉蜂起
軍によって制圧(1884)

発電所
銀座に街灯(1882)東京電灯開業(1886)

グラハム・ベル
アメリカの物理学者・発明家(1847〜1922)

マルコーニ
イタリアの電気学者(1874〜1937)

タイタニック号
イギリスの旅客船 大西洋で沈没(1912)

ラジオ
NHK本放送開始(1925)
テレビ
NHK放送開始(1953)

インベーダーゲーム
喫茶店はゲーム機をテーブルにしていた。1回100円。
あまりの流行でROM(内部メモリー)が高騰、品薄に(1978)
ゲームの評
たしか花柳幻舟さんだったと思いますが…

日本国憲法


第9条

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

第99条

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、
この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


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