64になったら パソコンはずいぶん前から64ビットが登場しました。ウィンドウズもサポートの切れたXPには64ビット版が出ていました。近頃はウィンドウズ・エイトの64ビット版が出回っています。とうとう64になったんだ? ビットって何かって? データの最小単位です。あるか、ないか、です。データを機械に処理させるには、まずデータを単純化します。機械は単純なものしか扱えませんから。でも単純な動作を高速に繰り返すのが機械です。 単純でもたくさん組み合わせれば、けっこう複雑なデータが扱えます。8ビットあれば256パターンですから、数字にアルファベットとカナぐらいは割当てられます。ポールが歌っていた頃のコンピュータは紙カードとか紙テープとかに記録していました。穴が空いていればある、塞がっていればないです。これを8つ並べて1文字にしていました。なお、磁気ディスクや磁気テープは磁気のあるなし、CD−ROMなどは、光線の反射のあるなしです。 計算機は電圧が高い低いをビットとみなしています。電圧が高いを1、低いを0として演算回路を組みます。演算といっても単純な論理演算です。これをいくつも並べて、+−×÷の四則演算をします。8ビットで−128から+127までの数値が計算できます。16ビットなら約−3万から+3万まで。それ以上の数値はプログラムを組んで計算します。 計算機をソロバン(あるいは電卓)に例えてみましょう。4桁のソロバンで一万円単位の足し算をしてみます。4桁では9999円までしか計算できませんから、一万円未満どうしを足して答えを控えておきます。次に1万円を1として万単位の部分を足し算します。これに一万円未満の足し算で繰上げがあれば1を加えます。その答に控えておいた一万円未満の答を並べれば一万円単位の足し算の完成です。 もしソロバンの桁がもっとあったら答を控えたり繰上げを照合する手間は要りませんから素早く計算できます。コンピュータもそうで、ビット数が多いほうが計算が速くなります。コンピュータではソロバンにあたるのがハードウェア、答を控えたりの手順がソフトウェアです。 ハードウェアが64ビットになったら、さあソフトウェアは大変です。ソロバンが変わったのですから、珠のはじき方も計算の手順も変更です。つまりソフトウェアの作り直し。でも大変なのはウィンドウズだけ。ウィンドウズの上で動かすアプリケーション・ソフトは関係ありません。ハードウェアとやり取りするところはウィンドウズが担当するので、アプリケーションはハードウェアを気にせずに作れるのです。 8ビットで登場したパソコンのハードウェアが16ビット、32ビットと性能が上がり、それを追いかえるようにウィンドウズも対応してきました。ハードウェアと直結したところはウィンドウズがやってくれるはずですから、私らアプリケーション・ソフト屋はハードウェアを気にせずにやってきました。それより作ったソフトを使うお客の仕事の都合でソフトを改良する事は多々ありますし、むしろそれが使命です。ソフト(柔らかい)なんです。ゆえにパソコンが流行ったのでしょう(おかげで私らも糊口を凌げた)。 「パソコンを買い換えたら、作ってもらったソフトがエラーで動かないよ!」とお客さんから電話!! 訊けばウィンドウズ・エイトの64ビットパソコンとのこと。これは32ビット用と64ビット用を別々に作らなければならないのかな? 悪い夢を見てるのだろうか? 不安がよぎりました…。 原因はすぐに判明しました。アプリケーションとウィンドウズやりとりの手順の書き方が、32ビット版と64ビット版のウィンドウズでは違うのです。ちょいと特別な部分ですが。そんな所が1ヶ所ありました。悪夢を払いのけるべく、どちらでも動くように、ちょいと特別な部分は別な手法に変えました。 これまで、新しいウィンドウズがでるたびにアプリケーション・ソフトといえど、ちょこちょこと手を加える必要がありました。まあ、想定範囲内でした。ところが64ビットは想定外でした。ハードウェアと直結したところはウィンドウズがやってくれるはずだったのに。これはもう裏切りですねぇ。 でもまあ、対策もわかったし、私の仕事用のパソコンも替えよう! ワインで祝おうかな、64になったんだから。自動車でいえば排気量が倍になるんだ! え! ダメ… 仕事にはそんな大きなものは要らない… 電気代がムダ… そうですか…
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