想い出の停電 ボランティアでアフリカの現地に赴いた友人は、写真を添付したメールは送らないでくれと言いました。通信回線の速度が遅いので写真の受信にはとても時間がかかる、受信の途中で停電でもしたらまた長時間かけて受信しなおすことになるから。ところが彼らは、現地の写真や日蝕のスライドを添付したメールを送ってきます。電力が安定する時間帯があるので、そこをねらって送信しているとのこと。(10年前) マイコン時代のプログラムは中型コンピュータで機械語に翻訳したリストを印刷して、それを見ながらマイコンに機械語を打ち込んでいました。発注元の工場に翻訳の作業に行った同僚がなかなか帰って来ません。なんでも落雷があり、ほんの瞬間停電(瞬電)しただけで中型機がストップ。それでやり直したとのこと。多摩の発注元ではよくあることだそうで、同僚は毎回帰りが遅かったです。(30年前) 突然の落雷で停電発生。担当していた計算機センターがストップ。土砂降りの中を自転車で現場に駆けつけ、善後策にてんてこ舞い。これに懲りて天気予報をチェックするようになりました。とりわけ10時間もかかる処理をスタートさせる前には、遠く西の山のほうを眺めて空模様を確認します。雷雲らしき雲があったら、空模様が落ち着くまで処理は延期です。「早く始めないと、帰りの終電に間に合わない」と訴えるオペレータたちに「遅くなったらタクシーで帰宅してくれ 途中で停電したら処理のやり直しで徹夜になるよ」(25年前) 雷が鳴ると反射的に作業中のデータを保存するクセをつけた社員もいます。(現在) 昼休み。あ、パソコンが消えた。「電子レンジを使うときは、電気ポットの電源を抜けよ」とぼやきながらブレーカーを上げに。身近な停電です。(10年前) 夜、自宅が停電。使っていたパソコンはノート型。電池で動くので停電は関係ない! と高笑いしました。あれあれ、画面が見えません。液晶画面のバックライトがついていないタイプだったのです。懐中電灯で画面を照らしてパソコンを終らせ、そして寝ました。(25年前) 同じく夜、隣り町一帯が停電。あえて真っ暗な街中をコンビニに買い物にいきました。店内は非常電源装置で薄暗く灯りが点いていましたが、冷蔵庫には「お売りできません」の貼り紙。それ以外のものを買ってレジに行くと、レジの機械も非常電源装置でちゃんと動いてました。さすがコンピュータを駆使した新進気鋭のビジネスモデル、と感心しました。(25年前) 江戸川を航行中のクレーン船が送電線を切ったために東京で大停電したのは、つい6年前。幸い病院などで人命にかかわるような事故は無かったようですが、徹夜で仕上げたパソコンの資料が消えたというかわいそうな方はいらっしゃったようです。 コンピュータは電気で動きます。停電したらアウトです。突然の停電に備えてバックアップをこまめに取るしかありません。当社では作業する場所と保管する場所を分けています。保管したファイルを作業場にコピーして、終ったら保管場所にコピーし返します。計らずともバックアップが残ります。そんなわけで当社では非常電源装置を設置していません。 そうそうネットワークにつないだ株とか証券とか金融取引はリアルタイムで寸刻を争います。そんな作業をなさっている方はノート型パソコンにしましょう。電源コードをつないで使用すると、電池を充電しながらで動くので停電は関係ありません、電池が切れるまでは。 非常電源装置は要は充電できる電池でノート型パソコンと仕組みは同じです。この装置に工夫を加えたら、ポワッポワッとした水車発電でも充電できてパソコンを動かせないかしらん。 ともあれ、突発的な停電に対処できるようなパソコンの使い方をしていれば、計画的停電なんてなんとでも対処できるでょう。 『足らぬ足らぬは工夫が足らぬ』 70年前、時の政府がふれまわったこの標語、原発を動かしたがっている電力会社や政治家や経済団体に投げ返してやりたいですね。
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