ジェネリッ〜ク 当社がソフトの製作に使っていたのはマイクロソフト社のオフィス・ソフトのひとつ「アクセス」という製品です。このソフトはデータベース管理システム(DBMS)という範疇で、バージョンは2.0でした。Y2K目前の1995年の発売ですから、まさかと思ったのですが、そのまさかでY2K問題を起していたのです。アクセスは2000年までの5年間に次々と新バージョン(アクセス95、アクセス97、アクセス2000)が発売されていて、これらは当面のY2K問題を回避していました。ですが、当社としてはバージョン2.0を使い続けていました。理由は以下のとおり。
そんなわけで、新バージョンを導入してY2Kに対処するよりも、自作のプログラムでY2Kに対処して、旧バージョンで開発を続けることにしました。 たとえば当社で製作する「請求書作成」のソフトを例にしますと、3段構成になっています。まず、ハードウェアを動かす基本ソフトとしてウィンドウズ何がしが1段目。オフィス・ソフトのアクセスが2段目。ここまではマイクロソフト社で売っています。そして3段目が請求書を作成・記録するデータベースです。当社をはじめマイクロソフトのユーザー(消費者)はこの部分を製作してるのです。ワープロのワードも表計算のエクセルも同じことです。 1段目・2段目は大量生産して市販してますから、それなりのお値段です。ところが3段目は独自に1つだけ作るものですから、そのお値段は相当なものになります。2段目まではお手軽に買い換えできますが、3段目の作り変えはおいそれとはいきません。3段目のほうが資産で、そこに蓄えたデータこそが財産なのです。 さて、お客様のソフトを開発するときは、その時点でマイクロソフトが売っているバージョンを使います。たいした機能の向上もないですから10年以上前のアクセス2.0や97でも良いのですが、マイクロソフト社は売ってくれません。前のバージョンの方が優れている場合もあるのですけど・・・(使い方によってはですが) 困るのは、お客様がパソコンを増設したときです。どちらのパソコンからも「請求書作成」ソフトを使うことにしましょう。アクセスはDBMSですから、2台から同じデータを同時に使用できるというとても有効な業務体制が構築できるのです。でも1台は旧バージョンのアクセス、もう1台は新バージョンとなると、3段目の「請求書作成」ソフトは2段目のアクセスのそれぞれのバージョンにあわせたものを用意する破目にあいます。 そんな場合は、旧バージョンで作った「請求書作成」を新バージョンに変換しています。ただし、変換機能はとってもオソマツです。変換が出来ないとの警告が出ればまだマシ。不正な変換をしておいて知らん顔なんてケースもありました。そこで、まず旧バージョンを改造します。変換をしくじるプログラム(命令や構成)は別のプログラムに書き直します。プログラムの量は増えますが、なんのその。それから変換。これをオソマツに引っかからなくなるまで繰り返して完成。おいそれとはいきません。今や旧バージョンで製作して、最新のバージョンへ変換していくのが標準の手法となっています。 1段目のウィンドウズや2段目のオフィスなるソフトは、やたらバージョンアップを繰り返すのですが、用も無い機能が増えるのでは経費の無駄遣いです。作るべき資産・財産は3段目なのですから。とはいっても、手持ちの旧バージョンをコピーして使うわけにはいきません。特許や著作の権利を振りかざして「コピー禁止」と狡すからい主張をするのもけっこうですが、ならば旧バージョンを売ってくださいませ。できれば瑕疵を直したうえで。 ええ? できない? ITにはジェネリッ〜クが無いのか?
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