丈夫で長持ち



 かつて自家用車があったころ、何日も雨曝しの駐車場に置きっ放したうえ、ある日突然エンジンをかけて発車、すぐに高速道路に入ってフル・スロットル、てなラフな使い方をしてました。クルマという機械は実にタフですねえ、驚きます。突然凍るパソコンとは違い、年季が入ってる!

 昨年暮の忘年会帰りのタクシーで運ちゃんの話。「ガソリンはハイオクですよ。レギュラーより高いけど、車の“持ち”が違いますからね。車の保守・買換えを考えたら、エンジンに負担の少ないハイオクですよ」。気のせいかスイスイと我が家まで運んでくれました。タフに造られている機械といえども燃料はいいもののほうが良いんですね。

 パソコンも機械ですが、エンジン、ハンドル、タイヤなど可動部品ばかりのクルマに比べると、動かない電子部品ばかりです。動いているのはいつも一定の回転をしている冷却用のファン、ハードディスクの盤。細かくチョコチョコと動くのは、外から見えませんがハードディスクのヘッドぐらい。

 それに比べるとプリンタはあちらこちらがよく動きます。からくり人形のようです。当社のプリンタは両面印刷ができるレーザー・プリンタです。紙を吸い込み、片面を印刷し、紙を裏返して、裏面を印刷、そして紙を吐き出します。まったくよく出来ています。

 導入したきっかけは、この「うぃんど〜ず注意報」を印刷するためでした。それまで使用していたプリンタは片面しか印刷できませんでした。でも裏が白いまま紙を捨てるのは『もったいない』ので、「裏紙」と称して裏面にも印刷していました。注意報は、まず表面を何十枚も印刷し、裏返しにそろえてセットして裏面を印刷します。ところがある日、印刷を担当している社員が悲鳴をあげ、作業を放棄してしまいました。裏面を印刷していると紙が詰まって詰まって、ぜんぜんうまくいかないのです。

 レーザー・プリンタはパソコンからの信号でレーザー光線を出して感光ドラムに当てます。すると感光した部分にトナー(炭素の粉)が吸いつき、ドラムが回転してトナーを紙におしつけます。そのあと紙は熱ドラムに行きトナーを圧着しています。そのためか紙は熱ですごく乾燥します、しかも片面。だから紙は反ってしまいます。

 裏面を印刷するには、紙が適度に湿るまで何日も待ったほうが良いのですが、すぐに裏面を印刷するのですから、うまくいかないのでした。社員の泣き顔を見て決心、プリンタを買い換えました。以後、注意報は順調に裏表印刷できるようになりました。

 プリンタは印刷する紙に一定の『質』を要求しています。印刷したての「裏紙」はそれを満たしていないのです。『質』を満たしていない紙を使うことはプリンタの故障や寿命にひびきます。タクシーの運ちゃんのようにクルマに良いハイオクにあたる良い紙を使うべきなのでしょうね。機械はそれほどタフではないのです。丈夫で長持ちさせるためには気を使わなければ。

 もともとプリンタは湿気に弱いです。紙が湿気でヨレヨレになるからでしょう。当社でも先日、大量の両面印刷をしようとしたら、「雨ですよ、急ぎでなければ明日にしたら。天気予報では明日は晴れ」と社員の声、すなおに従いました。

 そうそう、郵便番号を読み取る装置も、紙(年賀状)を読み込んで吐き出すのですからそこの機械的な動きはプリンタと同様です。良い紙のほうがいいのでしょうね。再生紙よりバージン・パルプのほうが『質』はいいのです。読取装置が詰まったり故障するトラブルは避けたい、そんな心理がバージン・パルプを再生紙と偽ったのでは? 前の年はトラブルで怒られたから、よけいにそんな心理に?

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 落語の「井戸の茶碗」ってのを生で聞きました。主人公は「くずや〜おはらい〜」の売り声で家々をまわり、紙屑やぼろなどを買っていく屑屋さん。私がガキの頃は当たり前のように見受けましたが、今はまったくいません。そういえは、軽トラのチリ紙交換屋も見かけません。どこへ行っちゃたんでしょう? 古紙が商いにならなくなったとのことです。なぜって、行政≠ェ町内会などボランティアに頼んだり、自らの事業で古紙を回収しているからです。そのおかげで製紙会社は再生紙の原料の古紙を安値安定で仕入れられるのです。つまり税金を使って屑屋やチリ紙交換を廃業に追込み、製紙業者を儲けさせたとも言えます。それなのに再生紙偽装、行政≠フお役人も怒るわな。いや我々はもっと怒らねば… そうなるようにした責任は行政のお役人にもあるのだから。



第57報「同姓同名」の続報
来ました「ねんきん特別便」! わぁ、勤め人時代(厚生年金)が全部抜けてるよ! まだ名寄せする以前の資料だよこれは。ひどい仕事ぶりだね役人(一部)は!

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