プリーズ・ミスター・ポストマン



 先日、湘南のほうへ仕事で出かける前に、パソコンのインターネットで、電車の乗換え案内を検索しました。何時何分の電車に乗れば目的の時刻に目的の駅に着くかを調べたのです。駅からのバスの時刻も調べておきましたから、バスの発車時刻前に到着するように検索しました。出ました。京成電鉄の駅を○時○分に乗って、都営地下鉄直通でS駅で京浜急行に乗り換え、さらにY駅でJR東海道線に乗換えよと出ました。メモするよりも自分の携帯電話にメールしたほうが間違えがないので、即メールしました。

 ケータイのインターネットでも乗り換え案内のサービスがあるのですが、
1.パソコンの料金は定量制なのでいくら使っても使用料は同じだが、ケータイは従量制。使えば使うほど料金が高くなる
2.したがってパソコンのほうがいろいろな経路をゆっくり検索できる
3.何よりケータイのキー入力は下手なので、なれたパソコンのキーボードのほうがいい

という理由でパソコンを使っています。これは私だけではありません。ケータイ得意の社員も同様です。

 自分のケータイにメールしてから、そそくさと会社を出ました。駅まで歩いているうちに着信するだろうと目論んで。駅まで10分弱、ホームで数分、メールは来ません。目的の電車が来たので乗車。乗換えの駅で着信の確認をしましたが無し。来た電車に乗換え、次の乗換え駅で確認。が、まだ着信なし。またまた来た電車に乗って、何とか無事に目的の駅に着きました。そして目的のバスに乗り、時間に間にあうように到着しました。

 それからはメールのことはすっかり忘れていました。用事が済み、のんびりと帰社して、自宅に戻ってくつろぎ、今日の一日は終わり、さあ、寝ようとしたら、ケータイから着信音。誰だ今時間に、とむっとしてケータイを見ると、乗換えのメールの着信です。昼にパソコンから送信してから12時間たっています。

 そういえば、以前にも同じような目に会っています。自宅から出版社に原稿をメールしました。なのに「原稿まだですか?」と編集者から電話。「送ったよ」「着てません。今日締切です」「じゃ、もって行きます」ということになり、原稿をフロッピーに入れ、自転車でもっていきました。後日「メールは3日後に来ましたよ」と編集者から聞きました。どこをうろついていたのでしょうか、私のメールは。向島の自宅から日本橋浜町まで自転車で1時間かからんぞ、それが3日もかかるなんて。

 まだインターネットのソフトがウィンドウズとは別売りだったころのことで、なんでも手作り感が溢れてましたから、こんなこともあるんだろうと。でも、インターネットがインフラになった今でも起こるんですねぇ。

 持参して相手に手渡すのが最も確実ですが、他者に委ねるなら郵便です。全国一律の低料金とはいえ配達する責任てものがありますから。この国家事業が始まったのは明治になってから。それまでは相応しい料金で民間の飛脚屋が運んでいたのです。為替も運んでいたとか。国家事業にしたのは国家の側に特別な意図があったからでしょう。けっして住民サービスだけが目的だったはずがありません。徴税、徴兵に郵便がおおいに活躍したでしょう。

 たまたまでしょうが、当社の界隈にバイクで配達にやって来るポストマンは、どの方もとってもお行儀が悪い。もうお役所じゃないんだから、お行儀はどうにかなりませんかねぇ…

 重要な書類のときは民間の宅配業者を利用します。料金が高めですが、集荷に来るし、指定した日時には着くし、届いたかの確認も出来ます。郵便の配達証明つき速達と同様ならリーズナブルな料金ではないでしょうか。なにより配達する責任感を感じます。

 インターネットのメールには配達責任はないのでしょうか? ご存知のように、インターネット全体を管理・運営している組織はありません。プロバイダーとは接続業者です。大学、研究所、官庁、軍、企業、業者などなどがそれぞれのサーバーを接続しあってお互いのネットワークにアクセスするようにしたからインター・ネット(中国語なら互連網)。ですから全体の管理責任者はいません。それぞれのネットワークの運営者の仁義で保たれているのです。メールが着かなかったからといって、謝罪会見をする人も組織もありません。プロバイダーに支払っているのは“接続料”や“サーバー使用料”で、メールの配達料金ではありません。

 相手先のアドレスが変更になっていたためにメールが届かなかったとか、添付した画像のファイルが大きすぎたためプロバイダーが受付けなかったとか、いろいろ事件はおきてます。メールの出しっ放しはよろしくないようです。

 添付したファイルの名前に漢字を使ったから迷子になったメールの話も聞きました。メールが経由するサーバーは日本だけではありません。グローバルですから、アルファベットしか使わない傲慢などこぞの国のサーバーを経由したら、漢字のファイル名を理解しないこともありうる話です。

 そんなわけで、重要なメールを送ったときは、後で到着したかどうかの問合せの電話をするようにしています、通話代を支払って。

 インターネットは入会地(いりあいち)のようですが、違いますね。国家レベルの権力が介在はしていませんが、自分だけがいい目をみればいいのだという輩が跋扈しています。みんなで入会うってのは、まだまだ先ですね。

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