立つより返事 過日、休日に都心のほうで用事があり、帰りに秋葉原に立ち寄りました。一緒に付いてきた友人はパソコンも携帯電話もやらないという農村に活きる御仁。人ごみの多さにたまげていました。馴染みの店に顔を出して、大型量販店をひやかして、ガード下の部品屋街を通り抜けて・・・、ちょっとした観光です。そうそう秋葉原へいく目的は、数日前に売り出したウィンドウズ・ビスタを見るためでした。 新しいウィンドウズが出ると、商売柄すぐに導入するとお思いですか? しません。というのも今あるパソコンにウィンドウズ・ビスタを入れても快適に動かないだろうからです。ビスタにするならパソコンも買い換えなければなりません。そこまでするメリットがビスタにあるか、ちょっとお手並み拝見、という目論見でした。 前にもお報せしたようにソフトの製作はハードに依存します。ビスタもきっと高性能のパソコンで開発したでしょうから、ちょっと性能が劣るちょっとでもお古のパソコンのでは、快適に動くはずがないのです。ビスタの売り出し前にパソコン・メーカーが「今買ってもビスタ対応のパソコンですから」と宣伝していましたから、間違いありません、きっと。 いつも様子見をするのかと言うと、そうではありません。12年前、ウィンドウズ95が出たときは躊躇せず、すぐ買いました。それまでのウィンドウズは、ハードの進歩に追いついていなかったからです。いわばハード=パソコンという機械は高速道路になったのに、その上を走るソフト=ウィンドウズは自転車という状態。どんなにがんばっても高速道路の持ち腐れ。たとえば、LANを接続するとCD−ROMは動かないとか。それが手持ちのパソコンにウィンドウズが追いつくのですから、多少のことは目をつぶっても躊躇しませんでした。 ウィンドウズ98のときはすぐ跳び付いて大失敗。不具合は多いし、プリンタなどの周辺機器が対応していない。そのうえ98のメリットもこれといって無し。98の次のバージョン(セカンド・エディション)が出てようやく落ち着きました。それ以来、新しいウィンドウズ、ME、2000、XPは毎度様子見です。最新のソフトを使うにはそれに見合ったハードを、という状況になってしまったからです。 当社のインターネット用パソコンはまだウィンドウズ98なのです。ウィンドウズもウィルス駆除ソフトもライブ・アップデートなるサービスを使って、インターネット経由で最新状態に更新していますが、どんどん遅くなっていきます。たぶん更新されたプログラムがこちらのパソコンがお古だぞ、ということを考慮していないからでしょう。とりわけ、本来のデータ処理よりも「モニタに綺麗な画像を出そう」「その画像を滑らかな動きにしよう」というグラフィックに凝っています。最新パソコンならウケもいいのでしょうが、わがお古パソコンは命令してから最初の画像が出るまで遅いこと遅いこと・・・ ストレスがたまりますね。わが社員はダブル・クリックしてから、一服してのんびり待っています(焦ってあれやこれや操作すると、ウィンドウズが凍ってしまい、再起動。かえって時間がかかります)。 速くする方法はあるのです。ダブル・クリックしたら即座に「はい、わかりました」とパソコンが応えればいいのです。そうすれば、凝った画像を出すのにモタモタしていても待てるものです。心理的なものですね。わが美しい国日本のことわざに言うように「立つより返事」です。たとえば、わが社員の仕事が的確かつ素早いといえども、仕事を命令しても返事もせず黙ってやられたんじゃ、命令したほうがめげますよ・・・ そうそう、その社員、インターネット・パソコンでのんびり待てるワケは、ダブルクリックするとお古のパソコンのハード・ディスクのカリカリカリっとたてる音が返事に聞こえていたんですね。 さてさて、新発売のビスタは「立つより返事」をするか、秋葉原の量販店に飾られていたパソコンを試しました。ワープロ・ソフトや表計算ソフトを立ち上げたりしてみたのです。結果、「返事はしません」。いくらビスタ用の速いパソコンでもわかりましたね。 12年以上前のMS−DOS時代から変わずソフトは「返事をしない」のです。どこを向いてソフトを作っているんでしょうかね。ビスタの次の時はハードに「立つより返事」回路をそなえてもいいのでは? まあ、ビスタにも何かいいところがあるだろうと、あれやこれや操作しているうちに突然モニタが真っ黒になって、パソコンはダウン・・・ 付いてきた友人がポツリ、「なんだ、使いもんになんねえな」。
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