|
我慢のモザイク 文字中心だったコンピュータ通信に、写真を持ち込んだのがインターネット。写真で世界に訴えた阪神大震災は、その力を見せつけ、普及するきっかけの一つになったと思います(でも、やっぱり原動力はアダルトだよな、よその国のその手の写真が手軽に…)。 さて、コンピュータに記録する写真やイラスト、ロゴ、絵などを「画像」と呼んでいます。ご存知のように画像は点の集まりとして記録します。一つ一つの点は「画素」といっています。1枚の画像にたくさんの画素を使えば使うほど鮮明な画像になりますが、記録する分量も多くなります。私のパソコン画面の壁紙の画像はおよそ80万画素。画素ごとに16ビット(信号)のカラーなので、記録容量は1.6メガバイト、フロッピー1枚に納まりません。 となると、この膨大な分量を減らし、かつ画像は鮮明にしたい、という矛盾したことを狙う輩が出てきます。その手法は「圧縮」と「暈し(ぼかし)」です。 「圧縮」は、たとえば青色が100画素続いているときに、そのまま記録せず、『青色を100回繰り返す』と短い文章で記録するのです。当然、表示するときは文章を解読して圧縮を元に戻すプログラムが要ります。 「暈し」は、人間の目には気づかないような色の差を同じ色にしてしまうという手法。人間は画像の色の流れをぼわーと全体的に眺めています。ですから、ちょっと違っていても気づかない、これが暈しの心意気。気づかれない程度のモザイクをいれるということでしょうか。 え?、どうして暈すのかって? 同じ色にすれば圧縮できるからです。 デジカメではJPEG(じぇーぺぐ)というモザイク方式が多いようです。写真ごとに暈しと圧縮をしていますから、どの写真も記録量が同じというわけではありません。暈しやすい単調な風景写真は記録量が少なく、着飾った子供を撮った写真は煩雑で暈しずらく、記録量も多くなります。 また、1画素あたりの記録量を増やして微妙な色も出すファイン・モードの写真は、記録量が増すうえ、微妙な色を出すため暈しはゆるいでしょうね。綺麗な写真ほど記録量は多くなるわけです。 あるお客さんの一眼レフタイプのデジカメは1枚の写真が2〜3メガバイトです。だからとっても鮮明で綺麗。ちなみに、私のカメラ付き携帯電話のは1枚10キロバイト(=0.01メガバイト)程度、とても不鮮明、引き伸ばすとボケボケ。 それでもその写真をメールに添付して送るときには、文章だけのメールより伝送量が多くなりますから時間がかかります。回線接続の契約が従量制なら電話代も嵩みますね。でも自分が撮った自慢の綺麗な写真だから我慢します。 逆にホームページの写真はさっと出てきて欲しいですね。私などは、なかなか絵が出こないと、さっさとあきらめて別のページを見ます。さっと出すには伝送量を減らす、そのためには写真を鮮明にしないで、サイズも小さくするしかありません。それでは訴える力が無くなる? いやいやそうでもないです。 阪神大震災のときの神戸市のホームページ、開くと記事の文章が出て(文字コードだから速い)、後から小さな写真がポツリポツリと出てきました。当時はモデムでの接続、ADSLもISDNもありません。現在と比べるとすごーく遅い通信状況でした。でも、さっと出た文字の記事にひととおり目を通したころには、被災現場の小さな写真が並んで出て来ていました。その写真をクリックすると大きく鮮明な写真が出てきます。ですが、出てくるまでに時間がかかること、かかること。でも、百聞は一見にしかずです。我慢しました、電話代も。震災の状況が世界中に知れ渡ったのは、このようなホームページ作りの工夫があったからでしょう。 ちなみに、当時の某国首相官邸のページはいきなり建物の写真を出そうするのですが、なかなか出てきません。多分大きな写真なのでしょう。あきらめて切りました(そんなもの見たくもなかったし)。民がどんな通信環境にあるのか分かっていないのですね。なお、現在はどうなっているか知りません。通信環境があまりよくない国々へ赴任している方々がさっと見られるページになっているんでしょう…きっと、知りませんが。
|