第30報
'03.3.31

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丈夫で長持ち


 第26報「バックアップ」でお報せしたスグレもののわが社のサーバー(※1)用のパソコン。データを記録するハードディスクを2台つけて、たえず同じ状態で同じデータを記録させるという仕掛けをいれました。この仕掛けを「ミラーリング(※2)」と言ってます。万が一、2台のうち片方のハードディスクが故障しても、もう片方が動いているから大丈夫。ハードディスクは差込み型ですから、替りを差換えれば、すぐに2台が同じ状態になります。ですから控の3台目も用意しました。仮にあるとき片方が故障する確率を一万分の一とすれば、2台が同時に故障する確率は一億分の一。まず同時に故障してデータを失うことはあるまい。
 ところがある日1台が故障したので、控の1台に差換えたのですが、2台が同じ状態になりません。壊れていないほうのハードディスクも故障していたのです。なんとほぼ同時に2台故障!
 控も含め3台のハードディスクは同じメーカーの同じ製造出荷(ロット)品だったのです。いわば同じ親から作ったクローン、機器として性格も寿命もほぼ一緒。ですから同時期に壊れやすいのです。これではミラーリングの意味はありません。3台とも別のメーカーのものに取り替えました。
 なお、同時故障のとき、1台がなんとか動いているうちに他のパソコンにデータを移し、幸い重要なデータは失いませんでした。

 話かわります。私の生家は街の電気屋で、小学校の時分によく店番をやらされました。懐かしの30年代です。どの家でもひと月に一回は電球を買いに来てくれました。60ワットが多かったと思います。ところが蛍光灯が出現すると事態は一変。当時の蛍光灯の寿命は一年、電球の10倍以上です。値段は5倍ぐらいですが、消費電力は半分、明るさは数倍。最初の器具代がかかったとしても、ちょっと長い目でみれば電球よりはるかにお徳です。「これじゃ、お店が儲からないじゃないか」と親にくってかかりました。。新しいものを売って儲けが減る、不思議な気持ちでした。しかし、街中あっという間に蛍光灯に切り替わっていきました。丈夫で長持ちですから。まあ、すぐ壊れるものを売って儲けようなんてのは、消費者にそっぽ向かれますよね。

 話もどします。ハードディスクをはじめ、昨今のパソコン機器は故障しやすいと感じているのです。信頼性がいまいちなのです。運よく不良品に当たらなければ、と祈りつつパソコンの部品を買っています。買ってから、すぐ壊れるものをつかまされたのではないかと不安になることも…。第20報でお報せしたように「最初はみんな不良だった」という不安は拭えません。

 一般に機器の開発では寿命設計というものをするそうです。ここはソフト屋と違うところ、こちらは腐りませんから。どのくらいの寿命を設定して開発しているのか詳しくは分かりません。ただひところよりは短いと思います。インターネットやデジカメなどなどパソコンをめぐる環境がどんどんかわり、それに対応する機種にするよう買い替え需要を喚起しているのでしょう。ひょっとしたら、寿命は税法で定める原価償却期間(※3)より短かくなっているかもしれません?
 それはそれとしても、当社のハードディスクのように設計した寿命より前に壊れるたと思われる機器によくめぐり合います。

 なんとなく、すぐ壊れるものを売って儲けようとしているような気がするんですが、気の迷いでしょうか? 先日参加した地元自治体主催のフォーラム(交流会:※4)でも「大メーカーが長持ちするように作らなくなった」と地元の業者さんがぼやいていました。パソコンだけではないようです。

 こんなんで良くなる景気って何なんでしょう? 「戦争をやって壊しまくって・・・」なんて、かの国の大統領はお考えなのでしょうかね?


※1 サーバー【server】
  @テニス・卓球・バレー‐ボールなどで、サーブをする方の側。また、その人。
  A飲食物を給仕するために用いる具。「コーヒー‐―」
  Bネットワーク上で他のコンピューターやソフト、すなわちクライアントにサービスを提供するコンピューター。
<広辞苑より>
  かつては「ホスト(ご主人様)コンピュータ」などと威張っていたが、今は給仕係。

※2 ミラーリング(mirroring)
  瓜二つ

※3 地元自治体主催のフォーラム
  2002年11月22日 東京都墨田区の「フォーラム・イン・すみだ」
  勉強会、交流会、懇親会が、催された。約200社が参加。

※4 原価償却期間
  かつて6年だったのが、2001年4月から、サーバー用コンピュータは5年、パソコンは4年となったそうです。


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