2002.6.10

 

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バックアップ


 最近、ウィルス付のメールがちょくちょく来ます。

 当社ではウィルス・チェック・ソフト(※1)を入れ、毎週最新ウィルス情報(※2)を入手しているので、ウィルスが活動することはまずないと思いますが、ウィルスが活動するとデータを破壊されることが懸念されます。ウィルスばかりではなく、ウェブ・トラップ(※3)やハッカーなどの侵入で破壊されることも懸念しています。当社ではインターネットはケーブル・テレビ接続なので、流行りのADSL(※4)と同様の常時接続ですから、いつデータが破壊されてもおかしくないという状況です。それで、22報「黒い訪問者」でお報せしたように、仕事のデータを保管するパソコンとインターネット用のパソコンは別々にし、お互い接続していません。けっこうローテク(※5)で防いでいます。

 さて、データが破壊されるのは何もインターネットからだけではありません。自分の操作ミス、ハードウェアの故障、ウィンドウズやアプリケーションなどソフトウェアの誤動作、などなどが原因でデータを失ってしまうことがままあります。落雷で突然の停電、なんてこともあります(電子レンジをつけたらブレーカーが落ちたというのもあったっけ)。ハードウェアやウィンドウズやアプリケーションのソフトは金銭を出せば入れ直しが出来ます、が自分たちで蓄えた文書やワークシート、データベースなどのデータの入れ直しは金銭では補いきれないものです。そこで、データの複製を作っておくことをバックアップと業界では言います。『背後から支えること。後援。』という足長おじさんが助けてくれる、という意味ではありません。自分で万々が一に備えて『データを複製しておくこと』なのです。

 まず、自分の操作ミス。私どもはソフトウェア開発が主な仕事ですが、あるソフトを改造するときは必ずソフトを別の名前で保存しておきます。なにせ私どものやることですからミスはつきものです。特にお客様のパソコンでお客様のデータを修正しなければならないときなどは、ことさら神経を使います。「データのバック(アップ)をとってからやれよ!」というのが合言葉です。

 つぎにハードの故障。とりわけデータを保管しているハードディスクの故障はどうしようもありません。記憶がパアになってしまうのですから。当社ではハードディスクを2台にして、いつも同じデータを記憶する装置を導入しました。片方のディスクが故障しても、もう一台が動作するという仕掛けです。壊れたディスクを交換すれば、再び2台が同じ状態になるというスグレものです。といってもハードディスクの故障の確率を累乗分の一に減らしたに過ぎません。愚痴をいうと、最近のハードディスクは安くなった分、故障の確率が増えたのではないか、と穿った見方をしています。

 さてさて、ソフトウェアの誤動作、あるのです。プログラムはある前提や予測に基づいて作るもの、しょせん思い込みです。誤動作しない保障はありません。

 そのうえ雷に電子レンジとくれば、複製を作っておく(バックアップをとる)に超したことはありません。少なくとも自分の操作ミスに対しては、こまめにバックアップをとる癖をつけましょう。ソフトによっては自動バックアップなる機能がついていることもありますが、それもソフトウェアを作ったメーカーの思い込み、それより自分でこまめにしっかりバックアップをとりましょう。

 LAN(※6)でパソコンどおしを接続している職場の場合、ほかのパソコンにバックアップをとっておくのもよいでしょう。ハードディスクは大容量化したおかげで、ガラガラに空いていますから。
 ですが、職場が災害にあったらどうしましょう。例えば火災。バックアップもろともデータは失われます。というわけで、当社では磁気テープ装置を導入しています。カセットタイプのDAT(※7)というやつです。まず、各パソコンの必要なデータを1台のパソコンに複製し、それを磁気テープに複製します。さらにそのテープは社外の然るべく所(といってもある社員宅ですが)に保管しています。DATにしたのはバックアップするデータ量がけっこう多いからで、そんなになければMOでもよかったのですが。

 さらにつらい話。データが壊れているのに気がつかずバックアップをとっていたら・・。これもよくある話で、バックアップから復元したらこれも壊れていたんですね。泣くに泣けません。ですから、何時のバックアップ、何時のパックアップと何世代かをとっておくぐらいの用心も要るのです。当社ではDATを数本用意して、これに備えています。

 因みに当社でバックアップをとるのは週1回、最悪の場合1週間分の仕事のやり直しを覚悟しています。幸いなことにこのお報せをする時点では、1週間分のやり直しの憂目にはあっていません。ほッ。


※1ウィルス・チェック・ソフト メールなどにウィルスが付いていないか調べるソフト。
※2最新ウィルス情報 新手のウィルスをチェックするための情報。ウィルス・チェック・ソフトのメーカーから入手する。
※3ウェブ・トラップ ホームページにしかけられたウィルス。
※4ADSL 電話会社がケーブルテレビに対抗して大安売りしている回線サービス。asymmetric digital subscriber line
※5ローテク ハイテクの反対。長年培われてきた目に見える確かな技術。
※6LAN[local area network] 構内ネットワーク。インターネットが外線電話なら、LANはインターフォン。
※7DAT[digital audio tape] デジタル記憶方式の磁気テープ。



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