工作所発

ういんどーず注意報
2001.9.11
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黒い訪問者


 中国語が堪能な(?)友人が「おい、これハッカーだろ!」と指差しました。第6報「漢字とカタカナ」でコンピュータ用語の中国語訳のところを書いていたときです。「『黒客』を中国語で発音すると“ハッカー”に近いな」とのこと。招かざる客=黒い客、それで発音もハッカー、さすが四千年の文化の国。うまいものだ。

 10年ほど前に私はハッカーと呼ばれました。当時はまだインターネットが流行っておらず、パソコン通信を使っているアメリカの会社と一緒に仕事していました。日本に駐在しているその会社のアメリカ人が私にむかって、「あんたはハッカーだ」(英語で)といったのです。お酒を飲んでうかれている席でした。「わたしゃそんな事してないよ」と反論(日本語で)。彼はなんか説明してくれたのですが、私はちんぷんかんぷん。通訳した人によると「ソフトづくりにとてもこだわる」とのこと。そう「私は頑固な職人なのだ」というと、「たんなるオタクだろ」の合の手。まあ、ハッカーをやるような奴はかなりのオタクなので、私もハッカーができるほどのこだわり屋ということか、と誉められたのか、仕事相手として文句を言われていたのか....。

 インターネットが流行っている昨今では、「私はハッカーだ」なんて冗談でも言えません。一般の新聞でもハッカー対策の記事が載るほど。もはやハッカーは業界用語ではありません。中央官庁もホームページを悪戯されたニュースは耳新しいです。ひょっとしたらデータが盗まれたりしているかもしれませんね。

 実は、当社のパソコンもハッカーに侵入されました。ぜんぜん気づきませんでした。どうしてわかったかいうと、当のハッカーから電話があったのです。「山下さん、転送してくれるって言っていたメール。なかなか来ないからこっちから見に行ったよ」「ということは、うちのパソコンにハッキングしたの」「そう!」ハッカーは私の知人だったのです。インターネットではけっこう簡単にハッキングできるようです。

 招かざる客たるもの、そっと裏口から忍び込んで来るのかと思いきや、実は堂々と正面玄関から大手を振って入ってくるのです。たとえパスワードという錠をかけていても、手当たりしだいに鍵を作っては錠にさして、開く鍵を見つけて堂々と錠を開けて入ります。鍵を作るということはパスワードを自動生成することになりますが、コンピュータですから膨大な組合せをつくるなんていうプログラムはお手のもの。携帯電話の迷惑メールの手当たりしだい作るアドレスと同じです。どうあがいても玄関がある以上、黒客はいつでもやって来れるのです。

 この話をしたらお客様が「うちは大丈夫かね?」と不安顔。「大丈夫でしょう」とお答えしました。というのは、このお客様はダイヤルアップ接続、つまりインターネットをやるときだけ電話をかけて接続するのですから、インターネットをやっていないときはいくらハッカーでも玄関につづく道(電話回線)が途絶えていて、辿りつけないのです。でも、接続しっぱなしだったら...(電話代もすごいことになりそう)。

 当社の場合、第18報「電線音頭」でお報せしたように、ケーブルテレビ局接続です。いわゆる常時接続ですから、インターネットをやってようがやってまいが、パソコンが動いているかぎり玄関への道はしっかりできています。ですから、わが知人はお気軽にハッキングできたのです。常時接続は企業がよく使う専用回線のほか、ケーブルテレビに対抗してADSLなど、電話会社も必死のサービスを繰り広げています。いずれの接続でも常時接続なら、黒客はほくそ笑んでいるのです。

 さて、対策です。黒客にインターネットに接続したパソコンからさらに別のパソコンへ社内ネットワーク(LAN)を伝って侵入されたのでは堪りません。そこでインターネット用パソコンを独立させ、社内LANから外しました。

インターネット用パソコンはハッキングされてもしようが無い、とあきらめて重要なデータはここには保管していません。

 それと、社員個々のパソコンからはインターネット接続はできません。eメールもできません(社内メールは別にあります)。独立したインターネット用パソコンにまで足を運んでやっています。当社の場合、社外からのeメールといっても会社のメールで、プライベートなものではありませんから。プライベートなら携帯電話のメールに限ります。

 ついでに、職場の省スペースを考えると、独立したインターネット用パソコンは使っていないときにはとても邪魔。そこでCPU切替機を使っています。1組のモニタ(テレビ画面)・キーボード・マウスで切替えながら2台のパソコン(CPU)を使うというものです。普段は社内LANにつながったパソコン、インターネットをやるときは独立したインターネットパソコンに切替えます。場所を食うモニタやキーボードが1つですむので、省スペースにはうってつけです。

 黒客はCPU切替機のケーブルを伝ってまで侵入してくることはありえません。これで対策は万全 (^O^)。

.....ではありませんでした (;_;)。ウィルス(中国語訳:病毒)の対策も。

ちょいとインターネットを楽しんだり、メールで便利しようにも、けっこうなリスクの覚悟が要りますね。




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