工作所発

ういんどーず注意報
2001.3.1
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最初はみんな不良だった



 パソコンはどんどん安くなっています。
 ところが、買ってきたけどどうもおかしい、という事件が...


事件1

 ある大手メーカー(※1)は3割が初期不良だと雑誌に取り上げらました。そのころ(97年)あるお客様がこのメーカーのパソコンを10台導入しましたが、すぐさま3台が交換となりました。雑誌のとおり打率3割です。このお客様は他の7台と比べられるから、この3台はおかしいとわかるわけです。ところが、なけなしの貯金をはたいて1台買った人が3割に当ってしまったら、とても不良品だと判断できません。パソコンはいつも「使っているお前が悪いのだ!」としか感じ取れないメッセージが返ってくるのですから。


事件2

 自治体(墨田区)のOA相談員をやっているときに、「買ってまもないパソコンがどんどんおかしくなる、私の使い方が悪いのでしょうか?」との相談者がやって来ました。パソコンの蓋を開けて中を調べたらハードディスクが動いていません。初期不良です。メーカーに相談したかと聞いたら「なんか難しいことをいわれて・・・よくわからなかった」とのこと。それならメーカーに「区のOA相談員に調べてもらったら、故障だと言われた」と問い合わせるようにアドバイスしました。何日かたって相談者がやってきました。「直りました。メーカーの方が来て修理してくれました。」とのこと。“区のOA相談員”の一言が効いたのでしょうか、一件落着です。そうそうこのメーカーはパソコンで大きくなったような会社(※2)です。


事件3

 あるお客様で買ってすぐにハードディスクが故障しました。メーカーがすぐに交換してくれたのですが、ウィンドウズをセットアップしてくれません。買ったときはあらかじめハードディスクにウィンドウズがセットアップされていたのです(いわゆるプレインストール)。交換に来た担当者いわく「そこまでやるように言われていません!」と、さっさと帰っていきました。少なくとも買ったときの状態にもどすべきでしょう。このメーカーは安価版で売り出した外資の大手(※3)です。


事件4

 あるお客様で、メモリとハードディスク増設をしたパソコンを導入すべく何社かに見積をとりました。その結果ある会社に発注したのですが、パソコンとメモリとハードディスクがバラバラに届きました。そのうえウィンドウズもセットアップされていません。客に自分で組み立ててセットアップしろ、というわけです。この会社だけ見積の段階で組立費を入れず価格を安めにしていたのです。商用のパソコンを販売するための見積とはとても思えません。組立費込みがあたりまえでしょう。なにしろこの会社は、ビジネス用品・OA機器の販売会社(※4)なのですから。秋葉原でマニアがパソコンを購入するのとはわけが違います。


事件5

 ある友人と飲んでいたら「パソコンを買ったがよくわからない。操作が間違っているとパソコンに言われる。」と愚痴っていました。いろいろ愚痴るので「そりゃ初期不良だろう。パソコンが悪いのだ。買った店に文句を言え。」と酔った勢いでアドバイス。どうやらそうだったようです。


事件6

 「え?まだあるの?」まだまだあるのですが、ここらへんにしておきましょう。今回はハードウェアだけでの事件ですが、これにウィンドウズとソフトウェアが絡んだ複雑な事件もあるのです。それはいずれの機会に。

 さて、たしかにパソコンは性能がよくなったうえ安くなりました。生産技術も向上し、また安定もしたからでしょう。でも「安かろう悪かろう」というのが、正直な感想です。そしてアフターサービスも悪い。

 よく、『どこのパソコンがいい?』と訊かれますが、いつも答えに詰まっています。こうなると、「かわいい」「かっこいい」からでも、「画面が見やすい」「キータッチの感触がいい」からでも、「仕様がすごい」「とにかく安い」からでも、自分が勝手に納得するような理由で決めてしまいましょう。このパソコンはあまり良くなかったかな、と不安になっても、自分が納得する理由で買ったということで我慢するしかありません。

 テレビや冷蔵庫などの電化製品は故障したら新しい製品に買い替えれば済みます。ところがパソコンは買った人(お客)自身が作成した文書や計算シート、入力したデータが蓄えられています。よそから届いたメールも入っています。プライバシーが詰っていると言っていいでしょう。ですからおいそれと交換できません。交換したらそれらすべてを失ってしまうわけですから。そこが、他の家電製品と違うところです。

 今の安かろう悪かろうという事態は「物を売る」ことが先行した安売り合戦の結果ではないでしょうか。とてもアフターサービスなんか出来る価格ではありません。でも商用にパソコンを使うお客としては、自社のデータをパソコンに託さなければなりません。だからこそ安心できるパソコンとアフターサービスがほしいのです。それに見合う価格を提示しても商売になるようになればと思います。

 商売というもの、「信用」と「信頼」を売るもの、と地元の先達からも常々聞かされています。


※1 自称一週遅れの2番手ランナー富士通。他に5割の実績を残したメーカーもあるとか(この会社は存続していないようですが)
※2 日本電気(NEC)個人的にはCMの中山美穂はいいですね。でも製品は美穂ではありません。
※3 サッカーJリーグの浦和レッドダイヤモンズのユニフォームに刻まれているCOMPAQ。あれ?このチームの母体はパソコン
を売っている三菱では?
※4 大塚商会




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