工作所発
うぃんど〜ず注意報 第18報
2000.11.1
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電線音頭

 当社のホームページを引っ越しました。インターネット接続業者(プロバイダ)を変えたのです。新しいアドレスは

http://www.sakura-catv.ne.jp/~yamasoft

です。
 数年前、インターネットが流行り始めたころ、プロバイダが雨後の筍のごとくできました。まだ見慣れぬ技術(知識)と若干の設備(資本)があれば、ベンチャー企業たりえたのです。そのおかげで、インターネットはどんどん普及してきました。当社でもまだ見慣れぬ技術がどんなものか見ておこうというわけでホームページを開設しました。が、ベンチャーは始めませんでした。
 プロバイダは、技術と設備だけではできません。会員(お客)の募集、管理、集金などなど通常の事務業務も必要です。インターネットの技術が見慣れてくると、資本力にものをいわせ、事務ノウハウにたけた大手企業が参入してきました。今、テレビでナンバーワンだとコマーシャルしている富士通系のパソコン通信企業(ニフティ)は、ベンチャー全盛のころは完全な出遅れでした。
 インターネットですから、プロバイダは国内だけではありません。MSN(マイクロソフトネットワーク)やAOL(アメリカンオンライン)など、外資も参入してきました。MSNにいたってはあまりにも姑息な手段を使って会員を集めるので、訴訟をおこされたりしています。こうなるとベンチャーも含めてM&Aです。あるお客様が契約しているプロバイダは何回かの吸収合併があり、そのたびに新しいドメイン名がついて、いまでは複数あるとのことです。

 話変わって、映画館まで足を運ぶほど映画ファンではありませんが、好きな映画はあります。ロバートレッド・フォードとポール・ニューマンの「スティング」はその一つで、ビデオも持っています。1930年代シカゴを舞台に、詐欺師たちがマフィアのボスを引っ掛けるお話です。競馬の実況放送の通信を使って詐欺をするのですが、この通信のところを映画のカットでは「wire」という文字を出しました。映画にはラジオも電話も出てきましたが、当時の通信は針金(ワイヤー)のような電線だったのでしょう。
 また話変わって、かつて勤めていた会社に電気通信大学の出身者がいました。彼いわく、大学の通信関係の学科の記号は“C”だそうで、これはケーブル(cable)の頭文字とのこと。今では通信をコンピュータ関係の辞書で引くとコミュニケーション(communication)なのに、と彼は憤慨?していました。ということは、通信はワイヤーからケーブルになり、無線も発達してきたので、有線無線ひっくるめてコミュニケーションになったのでしょう。

 話をもどして、当社が新しく契約したプロバイダは地元のケーブルテレビ局です。理由は、
(1)通信速度が速い、
(2)電話代が要らない、
からです。接続して最初に画像を出したとき、あまりに速いのでびっくりしました。おかげで、インターネット用のパソコンはつけっぱなし。メールがくれば合図の音楽が鳴るし、ちょっと出かけるにも時刻表を確認し、雲行きが怪しくなればすぐ天気予報を見、どこどこの金融機関が・・・というラジオニュースを聞けば、新聞社のホームページで詳しく読んだり、とインターネット・ライフ?に変化が起きています。
 ケーブルテレビ局のインターネット設備と当社のパソコンはケーブルテレビの太い電線でつながっています。したがって、ワイヤーのような電話線ではありませんから通信速度が速く、また電話会社を通していないので電話代がかかりません。
 難点は、ケーブルを引く工事です。借家なら大家さんの許可、大集合住宅なら一戸にだけ線を引けないから全世帯の工事がいるということです。私の自宅は古い分譲マンションで、全世帯の同意は取れていませんから引けません。一度引いてしまえば、それまでです。新しいマンションなどはケーブルを引いておいて、ケーブルテレビとインターネット可なんて売り文句になるでしょう。

 というわけで、ケーブルテレビはインターネット接続の主流になるかもしれないという焦りが、NTTをはじめ電話会社のインターネット接続サービスの安売り合戦を煽っているのです。
 もう一つ難点。地元ケーブルテレビ局のサービスエリア外に引っ越したら、その地域の局と契約しなおしです。メールアドレスは変わるし...と言うわけで、当社の若い人たちは敬遠しました。いつ引っ越したくなるかわからないからでしょう。
 となると若い人たちに受けるのはインターネットにも接続できる携帯電話(ケータイ)、iモードというやつでしょう。無線ですから電線の工事は不要。どこへでも引っ越せます。メールはケータイを持っている限りどこまでも追っかけてきてくれます。これは新たな流行りだ、わが社でも実験しようと称して1台導入しました。まだインターネット・ケータイ・ライフに浸っていないので、浸ったらご報告しましょう。
(どうも料金が気になって...)


おまけ
 専門学校で教えているころ、学生に出した問題です。
 『電気が伝わる速さは光の速度と同じ30万キロメートル/秒で一定である。なのになぜ通信速度に違いがあるのか?』
 引っ掛け問題です。電気が伝わる速度と通信速度は関係ありません。デジタルにしろアナログにしろ、点けた消したのオン・オフ信号を電線に送るのですが、1秒間にオン・オフを何回きりかえられるかです。トトトツーツーツーのモールス信号で言えば、1秒間にキーを何回たたけるか、その速さです。いくら速くたたいても電線の途中で雑音が入れば聞き取れませんから、ゆっくりたたきます。途中の雑音が少なければ少ないほど速くたたけ、通信速度があがります。
 ワイヤーより針金を編んだケーブルのほうが雑音が少ないのですから、ケーブルテレビは通信速度を速くできるのです。光ケーブルだともっと雑音が少ないのですが。

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