工作所発
うぃんど〜ず注意報 第14報
2000.6.1
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銀行に騙されたお話


 ご無沙汰しました。3ヵ月ぶりの注意報です。
 ネタが尽きたわけではありません。浜の真砂は尽きるとも、うぃんど〜す注意報のネタは・・・という状況なので、ただ私の筆不精癖が出ただけなのです。


 先ごろ大相撲を引退した横綱が、大関に昇進したときの口上で「一意専心」で励むと言いました。「一意」という言葉を、彼は『一つの事に精神を集中するさま。ひたすら。』の意味で使ったのでしょう。もう一つ『ただ一通りに定められること。「―的な解」』という意味も広辞苑に載っています。しかも英語の『(unique)』であるという注がついています。カタカナで『ユニーク』です。「おまえの顔はユニークだ」と言われたことのある私ですが、変なとか、妙なとか、奇抜なとかという意味ではないのです、ユニークは!

 コンピュータ業界でもユニークという言葉をよく使います。「ただ一通りに定められること」という意味でです。特に私どもが扱っているデータベースではよく使います。以前書いた解説本(*1)で、『どのレコードもそのレコードの値は違うのですから、レコードは一意になります。」と書いて、一意≠フところにユニーク≠ニルビをふりました。ユニーク≠ニ書いて一意≠ニルビをふったほうがよかったかもしれません。

 ユニークは、その他にどんなところに現れるでしょう。第8報「コードな2000年問題」で『コード化は、記憶容量の節約も目的ですが、・・・また、入力の手間が省けるというメリットもあります。』とお報せしました。コードとは暗号です。007がコードネームで、その正体はジェームス・ボンドというのと同じことです。当然コードは一意(ルビ:ユニーク)であるはずです。でなければ、007は私かもしれなくなってしまうのです。ですから「○○コード」という言葉が使われていれば、それはユニークだというのが定説なのです。いや常識なのです。であってほしいのです。

 銀行では、金融機関コードと支店コードを使っています。金融機関コード0000≠フ支店コード093≠フ正体は日本銀行≠フ本店≠ネのです。あるお客様が、銀行の団体である全銀協(全国銀行協会)からCD−ROMのコード表を購入しました。結構なお値段だと聞いています。コードを入力すれば銀行名や支店名がただちに出てくる、あるいは銀行名・支店名でコードを探すためにです。当社でそのソフトを製作しました。ところが、ある銀行のコードがユニークではなかったのです。同じコードの支店が2つあったのです。こちらは天声を聞いたわけではありませんが、ユニークと思い込んでいました。結果どんなことがおきたかというと、銀行への振込データを同じ支店コードの別々の支店名へ2つ作ってしまったのです。そのまま銀行に送れば二重振込になるところでした。テスト段階で発見したのでホッとしています。改めて調べてみると、同じコードは445、支店数で953もありました。同じコードで7店舗というのが最大です。

 そもそも、銀行をどうしてコード化するのかというと、コンピュータの通信を使って銀行へ振込をする場合、伝送するデータはコードにしないと銀行が受付てくれないのです。漢字では伝送できないのです。そのデータの書式を全銀協フォーマットと呼んでいます。銀行は自分たちの都合でコード化するよう顧客に強要していると言っていいでしょう。パソコンやインターネットがはやっているのに、漢字がだめで数字のコードだけというのはあまりにも時代遅れではないでしょうか。またそれを強要するのは、あまりにも横暴でしょう。

 倒産、合併・吸収、海外からの参入と銀行業界は荒れています。銀行コードが混乱しないことを願い、漢字で振込めるサービスをする銀行が抜きん出てくることを期待しましょう。

 ちなみに、ちょっと古いですが、ある銀行(*2)の資料には、仕向銀行番号∞仕向支店番号≠ニコードとは明記していませんでした。が、その備考には金融機関コード∞統一支店コード≠ニあります。コードならばユニークだし、番号でも一意だと思います。



*1Access Expert95
*2「パソコンバンク外部作成データ送信で取扱可能なデータフォーマット」富士銀行(6.8.30)


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