工作所発
うぃんど〜ず注意報 第13報
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ポチッとな


 「ファミコン(任天堂)のゲームをやってるような戦争(ニンデンドー・ウォー)」と呼ばれたアメリカ合衆国とイラクの戦争からそろそろ10年。当時いち早く情報を得ようと、パソコン通信でアメリカのデータベースに接続しました。もちろん有料です。日本のパソコン通信社に接続して、そこからアメリカのパソコン通信社につないだのです。国際電話料金はかかりませんが、日本とアメリカのパソコン通信社に接続料金がかかります。1分あたりうん十円だったかと思います。さあ、つながりました。が、あぜん!。あたりまえですが、画面に出てくる説明や案内は全部英語。情報が英語であることは覚悟していたのですが、その情報を探すための案内も英語。情報が探せません。辞書を片手に何とかと思ったのですが、料金が1分ごとにかさみます。その恐怖感はタクシーのメーター以上でしょう。即座に接続中断を決意。が、悲しいかな中断の操作がわかりません。たぶん画面には英語で出ていたのでしょうが。右往左往して(パニックって)いる間も料金が。「ええい、しょうがない」とばかりにパソコンの電源コードをコンセントから引き抜きました。パソコンはストップ、パソコン通信社との接続は解除されたはずです。確かパソコン通信社の説明書にも「わからなくなったらパソコンのスイッチを切れ」とあったように思うのです。後日パソコン通信社の請求書をみてホッとしました。

 最近のウィンドウズパソコンで、いきなり電源を切るわけにはいきません。ちゃんとウィンドウズの終了操作をして「コンピュータの電源を切る準備ができました」というメッセージがでるまで電源スイッチを切ってはいけません。でないと次に電源を入れたとき青い画面になって、スキャンディスクなるソフトが動き出して何やらチェックします。機種によっては、ウィンドウズの終了操作で自動的に電源が切れるものもあります。また、電源スイッチを数秒押し続けないと電源が切れないようにもなっています。誤って電源スイッチをちょっと押しただけでは効かないようにしてあるのです。

 かつてパソコンは、いきなり電源を切っても大丈夫でした。いったん電源を切って入れなおすリセット操作も、NEC社のPC98シリーズのパソコンにはそれようのボタンがありましたし、ほかのパソコンでもキーボードの3つのキー(*1)を同時に押せばリセットできました。ウィンドウズ3.1までは大丈夫でした。

 いきなり電源を切れなくなったのは、ウィンドウズNTが最初でしょう。94年頃です。続いてウィンドウズ95、98はだめです。どうしてそうなったのかはマイクロソフトの設計思想がそうなったからで、パソコンにインストールしたソフトやデータをウィンドウズが一切合切管理しようという魂胆からでしょう。ウィンドウズが他のソフトを動かすための基本ソフト(OS)として最低限管理すべきことは管理すべきなのですが、それ以上に何でも彼でも管理しようとしているようです。何が目的で一切合切管理したがるのかわかりません。単なる稚拙な技術のせいか、世界を制覇する野望のせいなのか。
 それはともかく、ウィンドウズの終了操作をすると、一切合切を管理するための処理が動くのです。終了操作をちゃんとやらないと、一切合切の管理が出来なくなるのです。

 当社が製作したソフトの操作をお客様に説明するときに、「わからなくなったらリセットしてください」(*1)、「いざとなったらスイッチを切ってください」(*2)などと言ってました。もちろん、ウィンドウズ3.1まではです。最近はリセットまでです。いきなり電源を切らないようにお願いしています。

 さて、それでもスイッチを切らなければならない状態になることがあります。そう、パソコンがうんともすんとも動かなくなるのです。もちろんウィンドウズの終了操作も出来ませんし、リセットの操作も出来ません。いわゆるウィンドウズが「凍った」といわれる状態です。どうしてこんな状態になるのかは、一切合切の管理の破綻のせいかもしれません。

 ある日「あっ、凍っちゃたよ。ついてねぇな」と私。「ポチッとな!(電源を切っちゃいな)」と囃したてる社員の声に後押しされてスイッチを切って入れなおし。青い画面が出て「ちゃんと終了操作をしてください」とのメッセージ。「てやんでぇ、終了操作しようにも凍っちゃて出来なかったんだよぉ!」とウィンドウズを作った連中に文句を言っている私(でも届かない)。

 ファミコンにしろプレステにしろゲーム機はいつでもリセットできます。ちょいと難しいことにチャレンジして失敗してもリセットして再挑戦。パソコンもいつでもリセットできるなら安心して操作できるはずです。ある作家が愛娘の門出におくった言葉を思い出します。「人生なんて何回でもやり直し(リセット)が出来るのだからな」。

 パソコンを難しくしている一因がこんなところにもあるようです。ウィンドウズのウリはやさしい操作だそうです。それには「人に優しい」という思い(設計思想)があってのはずです。はたしてそうなのか、疑問をいだくのは私だけではないと思うのですが。


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