同意



 新しいパソコンを使い始めるには、ウィンドウズのセットアップから始めますよね。言語は「日本語」かとか、キーボードはどうだとか、ネットワークは繋いでいるかとか、パスワードは何かとか……です。それらに答えいていくとセットアップが始まり、なにやらパソコンはこそこそと動いて、だいぶ暫らくしてようやくパソコンが使えるようになります。そうそう、設定の始まりで「ライセンス条項」とか「サービス規約」とかの「同意」を激しく求めてきます。この利用規約に同意しなければウィンドウズは使えません。となればしぶしぶ同意です(※)。

 そういえば、ずっとずっと昔の話ですが、部屋を借りようと訪れた不動産屋さんに契約しなければ物件の下見はできないなんて言われてビックリしたことがありましたっけ。保険の代理店さんに保険の定款をみせてと言ったら、契約したら見せるって言われたこともありましたっけ。どちらも馴染みのお店じゃないので契約はしませんでした。インターネットもパソコンも無いずっとずっと昔のお話です。のどかな時代だったんですね。

 パソコンもお店屋さんで買う前に「利用規約」を見せられたら、買わなかったかもしれないのですが、どこのお店のどこのメーカーもパソコンのほとんどがウィンドウズです(※)。いやな時代ですね。アイフォンやアンドロイドのスマホかそれともガラ携タイプかを選べる携帯電話がうらやましい……。

 閑話休題、ようやくパソコンを使い始めるとウィンドウズはインターネットを通じて頻繁に「ウィンドウズの更新」をしてきます。「機能の追加」「不具合の改修」「セキュリティの強化」が更新の理由なんでしょうが、これが曲者で、何をしてくるかわかりません。怖いですね。これも「同意」したからにはやむを得ないとなれば、ウィンドウズの更新を実力で阻止するしかありません。というわけで当社のパソコンはインターネットに繋げていませんので、ウィンドウズは更新できません。機能の追加や不具合の改修は要りません。そんなものは回避してプログラムを組んでソフトを作りますし、インターネットに繋いでないからセキュリティーの問題もありませんから。

 しかし、当社が提供するソフトを使用なさるお客様のパソコンはインターネットに接続しています。お客様のところで当社のソフトが動かなければ不良品になってしまいます。ですから当社のテスト用のパソコンは、しぶしぶ同意して、インターネットに繋げて、頻繁にウィンドウズの更新をしてあります。作ったソフトをそのパソコンで何度もテストしてから納品しています。

 それでもこの数年、当社のソフトが「突然動かなくなった」とか「急に止まった」とかの事件が頻発して右往左往させられました。どれもお客様のパソコンがウィンドウズの更新をしたあとに起こっています。とりあえずの処置をして乗り切りましたが……。ウィンドウズの更新はほんとに曲者です。

 そういえば、ウィンドウズの更新のことは利用規約を見ると、ウィンドウズに責任は無い…? 同意したから…? いつか機会があったら法律家に訊いてみよう……。

 先日、ある「利用規約」を話題にしているSNSの記事が目に止まりました。気になったので、話題にしているその「利用規約」をインターネットで調べて、全文を見てみました。なんと、とても便利だというサービスを利用するには「サービス提供者が利用者の個人情報を閲覧する」ことに同意しろっていうものなのです。

 便利だというサービスとは、お国の「健康保険」とか「年金」とか「納税」とか「給付」とか「預金口座」とかの手続き。サービスの提供者はお国の「デジタル庁」です(※)。

 そのうえ、利用規約には『利用者に通知しないで、利用規約を改正する』とあります。同意しろって言っているほうが勝手に規約を変えちゃう規約なんて「規約」になるんですかね? 何をしてくるかわからない曲者のウィンドウズよりも怖いんですが……。




※ウィンドウズの利用規約は、「設定」⇒「システム」⇒「詳細情報」の画面から読むことができます。

※ウィンドウズ以外のパソコン マック、リナックス、ユニックス… 国産のPC98はもう無い。


※便利なサービス
 マイナンバーカードで利用するマイナポータルというインターネットを使用したサービス。
 デジタル庁のトップのトップの「内閣総理大臣」が閲覧するんだという利用規約…。


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