安心・安全



 知合いの農家の御仁たちは何でもやってのけます。田おこし、畑づくり、種まき、収穫、出荷、後始末…。何でもやってのけるから「百姓」という表現があるのでしょう。草刈り機、耕運機、トラクター、コンバイン、…。今の農村にはいろいろな機械が登場しています。そんなものは苦にもせず彼ら・彼女らは使いこなします。大型機械を操る姿は、建設現場の大型クレーンのオペレーターに引けを取りません。さらに道具や農機具・機械の手入れや保全もやっています。

 田・畑の仕事ばかりではありません。家畜の世話もあります。庭の植木の手入れもあります。そして出荷の伝票はパソコンで作って記録しています。

 その御仁が「パソコンはなぁ、中を見てもわからん。どうなっているんだか… きらいだよ」とポツリ。確かにパソコンをいくら分解しても仕掛けは見えません。徹底的に分解してピカピカの金属の円盤が出てきたら、それはデータを記録する板、ハードディスクというやつです。何が記録されているのか目で見てもわかりません。緑色の基盤に貼り付いているICチップを剥がして削ってみても、小さすぎて電子顕微鏡でもなければ回路は見えません。パソコンはどう入力したら、どう反応するか、を見たり感じたりするしか手がありませんねぇ。

 このところ当社のセキュリティ・ソフトが週に1回ぐらい警告を発します。受信したメールにウイルスが着いていたので駆除したというのです。残念ながら、メールのどこにウイルスが着いていたのか、どんなかたちをしていたのか、どういう手段でウィルスを検出したのか、わかりません。

 セキュリティ・ソフトを導入してきちんと料金を払っていれば、時折ワクチンを送り付けてきたり、ソフトを更新したりしますが、どうやって検出しているかわかりません。ソフトを分解したところで、プログラムですから二進数の羅列…。解析には膨大な労力が要るでしょう。セキュリティ・ソフトの会社が料金分の仕事をきちんとやっていると信じるしかないんですよねぇ。

 セキュリティ・ソフトは、週に何通も受信する「あなたのアカウントを停止しました」とかいう詐欺メールの文面そのものは検査していません。メールについているプログラムを検査しているのです。プログラムとは添付ファイルや文面中のリンクです。文面につられて添付を開いたり、リンク先のホームページを開かないように。

 セキュリティ・ソフトの謳い文句ほど安心・安全ではないんですね。私どもでは知らないところから来たメールは即刻処分しています。そう自助なんです。

 「さっき送ってもらったメール、もう一度送ってくださいな」とお客さんから電話。「届いていませんか?」「いやいや、手がすべって変なメールと一緒に処分しちゃったんだよ」… てなこともありますがね。

 まあ、ここまではいわゆる水際作戦です。万が一突破されたらどうなるでしょう…。セキュリティー・ソフトはそこまで面倒をみてくれません。ですので、そんな事態に備えて私どもでは常日頃からデータのバックアップをとっています。これも自助ですね。え? データはパソコンではなくクラウドに保存しておけば安心? いやいやクラウドのデータを狙った変異株のウイルスも出てきているのですよ。

 水際作戦も効を奏さなかった万一の事態、直ちに検査して即修復・修理するなんてサービスは聞いたことないし、あったらとてつもない料金でしょうねぇ。公助でやってくれたらパソコンをインターネットに繋いでも安心・安全な感じがしますがねぇ。スマホもですよ、いまや生活必需品ですから。

 知合いのお百姓たちは、作物と畑の相性、日々の天気、雨、風、温度、湿度をにらみながら、種を蒔き、肥料をふり、水をやり、草取りをし、そして収穫して… 安心・安全な、そして美味しい食づくりに精を出しています。




職場などではLANに繋いだ複数のパソコンでインターネットを利用するのにルーターという機器を使います。ここにセキュリティー・ソフトを入れれば職場全体の水際作戦になります(UTM)。が、インターネット以外の方法でデータを持ち込む場合はする抜けです(例えばスティック・メモリー)。

未知のウイルス ワクチンが間に合わなければ感染します。

ウイルスの増殖 ウイルスはパソコンに記録されているメールのアドレスを盗んで、盗んだアドレスあてに詐欺メールを送り付けます。つまりウイルス付きの詐欺メールが増えて拡がるのです。

ウイルスの発症 ウイルスはパソコンのデータを破壊して、「直してやるから金を払え」なんてメールを送り付けてきます。が、払っても直してくれません。オフィス・ソフトは壊されても再インストールすればもとに戻りますが、オフィス・ソフトで作成した文書やシートはダメです。作り直しです。他所様から頂いたものはまた頂きにあがらなければなりません。

記者会見で何回も「安心・安全」と総理大臣が答弁していたTOKYO2020(オリパラ)。その顛末は………

大騒ぎして一年遅れで築地から移転した豊洲の市場、安心・安全はどうなってますかね?

安心の「安全神話」のはずだった原子力発電所。もう10年前から福島では「緊急避難」しっぱなしです。

そういえば「百年安心プラン」の公的年金は?


↑頁先頭へ