退屈で…退屈で…



 商店のオヤジさんが一念発起してパソコンで売上を記録して商売に役立てるためのプログラムをご自身で作りました。当社に何回も通ってプログラムは見事に完成。それからしばらくして相談にやってきました。「オレのプログラムを店のモンに任せたんだが、数字を間違えたり、違う売上表を出したりするんだよ。だから操作のガイドや違うときに注意を出すようにしたいんだ」とのこと。改造してから一言、「人にプログラムを使わせるのはたんへんだなぁ…」

 プログラム作りを生業としている私どももそうです。当社で皆が使うソフトには説明書なし。作った者が近くにいますから、何でも訊けます。でも、お客さまに使っていただくソフトはそうはいきません。お客様のお傍でいつでもアドバイスするなんて叶いません。ですから、プログラム作りは、いかにうまく操作を誘導するかにも腐心します。目的の計算のプログラミングの労力を1とすると、入力や出力を誘導するためのプログラミングは10倍も労力を要するというレポートを目にしたことがありますが、実感です。

 さらに、データを書き込めとプログラムで命令したのに「書けない!」ということがあります。この前は書けたのに…。プログラムは中断、かってに終了して、プログラム崩壊! 使っている方はパニック! こんな事態にならないように、書けないときはもう一度書きにいったり、それでも書けないならメッセージを出すようにしています。これをエラー処理と呼んでます。プログラミングの労力はさらに10倍。

 原因はプログラムの不具合ではありません。書き込む先のハードディスクなどの記憶装置の不調などなど様々です。まあ、めったに起きません。パソコンが快調ならエラー処理は退屈で、退屈で…。ひょっとしなくても、ソフトがその役目を終えるまで一度も出番のなかったエラー処理もあるでしょう。

 ということは、エラー処理なんぞプログラムしない方がソフト製作の生産性は高くなりますね。でもプログラム崩壊でパニックにななったら、原因はソフトでなくパソコンの所為であっても、当社のソフトの評判は地に落ちます。著作権もへったくりもありません。ですからエラー処理は欠かせません。

 なんとなく感染症の医療と似てませんか?ウィルスはめったに来ないから普段は退屈で退屈で。だったら無くても… てなわけにはいきませんね。医療崩壊!…。お医者様がヒマで退屈なのは喜ばしいことなんでしょう。生産性などは度外視。ヒマなのが喜ばれるのは消防署・警察・それから…もです。

 当社が提供するソフトはデータベースというものを使います。データベースは記憶装置のデータを頻繁に読んだり書いたりします。というのは、データを皆で共同使用するのが目的だからです。ワードやエクセルの共有とはわけが違います。事務所内のローカルネットワーク(LAN)に繋いだパソコンの記憶装置にデータベースを置くと、他のパソコンからも同時にデータベースを利用できます。

 学校で習ったか教えたか、機械の部品点数の2乗倍が故障率でした。部品が2倍になれば4倍、3倍なれば9倍も故障するというのです。となると、LANで接続した場合、経由する装置・部品が格段に多くなり、ケーブルも長くなりますので、エラー処理の出番があるでしょう。

 さらに、クラウドとかいうインターネットの先のサーバーにデータベースがあるとなると、さあ、これはどれだけの部品とケーブルを経由するのでしょうか?
 エラー処理の出番ばかりで、目的の計算のプログラムのほうは動くヒマがないかも…。

 そうなると、クラウドのデータベースとデータを読み書きを前提にしたプログラム作りになります。労力ははさらに10倍…。いかにうまく操作を誘導するかにもデータベースの機能を活用しているんですがねぇ…。生産性あがらねぇなぁ…。
 いっそロボットを事務所のパソコンの前において、スマホからインターネット経由でロボットにパソコンを操作させたら? 貴重なデータはインターネットを経由しないからセキュリティーとかの心配がいらないし…。




    プログラム崩壊!
      ハードウェアの不調のほか、「ネットワークに接続できない」ということも。ウィンドウズの更新が原因ということもあります。

    ワード・エクセル
      文書やシートはパソコンのメモリーにすべてを読み込んで、編集や計算の処理をします。文書やシートが出来上がったら記憶装置に保存となります。
      マイクロソフト・オフィスでは「アクセス」というアプリがデータベースです。

    インターネット経由の事例
      遠隔地との情報交換にデータファイルの置場としてインターネットを利用する方式をとっています。遠隔地での操作は事務所とほぼ同じですが、交換データを送ったり受取ったりの操作の手間と時間待ちがあります。

    ロボット
      福島原発の事故処理に登場するロボット、医療のダビンチ手術のロボット、障碍者のために開発されている分身ロボット、いろいろあります。



↑頁先頭へ