工作所発
うぃんど〜ず注意報 第9報
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忍法! 虱(しらみ)潰し


 「ははは、バグったバグった!」息子の声にギョッとしました。“バグ”というわが業界用語をなぜ小学生の息子が知っているのか。「マリオが地面の中歩いているでしょ。こいうのバグって言うんだよ。」ファミコンのゲームをやりながら説明してくれました。業界用語がゲームを通して日常用語になってしまいました。バグとは、業界ではプログラムの不具合を指します。仕様どおりならマリオは地面の上を歩くのに地面の中を歩いているからバグというわけです(なお、息子は今高校生です)。
 不具合=バグ(bug)を取り除くことをデバッグ(debug)と業界では言っています。直訳すると南京虫を除く、日本語なら虱潰しでしょう。広辞苑には『しらみ‐つぶし【虱潰し】 些細な物事も余さず片端から一つ一つすべて処置すること。』とあります。まさにプログラムの不具合を探して直す作業は、それこそ虱潰しなのです。
 コンピュータは命令どおりに正確に計算するように作った機械です。この命令をならべたものがプログラム。ところが「これ計算しといて」というわけにはいきません。機械に融通とか気配りはありませんから。「まずAとBを加え、その答えをCで割った余りを・・・・」とまぁいちいちこと細かく命令を並べていくのがプログラムという作業です。子供に食事をさせるのに箸の上げ下げから命令するようなものです。些細な命令の羅列ですから、プログラムはバグの温床なのです。
 さらに、どう計算するかは、ある想定に基づいて人間が考えるものです。ですが、想定しないことがおきたら計算が狂います。これもバグ。マリオの場合も息子が想定外の操作をしたのでしょう。2000年問題もまさか2000年になるまでこのプログラムは使われまいという想定が外れたということです。
 当社でも、バグを出さないように仕事していますが、よくお客様から・・・・。ご迷惑をおかけしてもうしわけありません。
 お客様からの問い合わせは当社の製品にとどまりません。ウィンドウズが、オフィスが、一太郎が、かな漢字変換が、と。そんなときはインターネットでそのメーカーのホームページで対処法を探しています。
事例1.当社のソフトが動かない。
 マイクロソフト社のアクセス(*1)用に作ったソフトです。調べると、アクセス自体がまともに動いていません。マイクロソフト社のホームページを探索したら、ありました。原因はニフティマネージャ(*2)というソフトがセットアップされているとアクセスが動かないのです。対処方法はアクセスを先にセットアップするようにということでした。どちらのソフトも想定外の事象にぶつかったバグです。マイクロソフト社もニフティサーブ社もホームページに謝罪がありました。
 なお、ニフティマネージャをあらかじめセットアップしたパソコンをNEC社や富士通社などのパソコンメーカーがこぞって販売していました。パソコン購入者がアクセスをセットアップするとバグです。各社どう対応したのでしょう。残念ながら私は知りません。
事例2.当社のソフトで、記号を入力できない。
 一太郎でお馴染みのジャストシステム社のかな漢字変換ソフト(*3)をお客様は使用していました。インターネットを探したら、一太郎のユーザーが開設したホームページ(*4)に対処法がありました。心やさしいユーザーですね、ありがたいです。原因はかな漢字変換ソフトのプログラム作業のバグでしょう。ジャストシステム社のホームページにもありました。が、こちらは謝罪がありません。どういう会社なのでしょうね。ゲームのバグはゲームの楽しみにもなりますが、かな漢字変換ソフトのバグはそうはいきません。CMのように賢くなってほしい会社です。
事例3.当社のソフトをセットアップすると、他のソフトが動かなくなる。
 機器メーカーさん(*5)に依頼された市販用のソフトです。メーカーさんのテストで判明しました。市販用ですのでソフトをセットアップするプログラムを付けました。マイクロソフト社製(*6)です。このセットアッププログラムはウィンドウズの部品のプログラム(*7)を新しいものに入れ替えてしまうのです。ところが、一部のソフトの古いバージョンのもの(*8)が新しい部品だと動かないのです。新しい部品が古い部品の機能を有していないからです。部品プログラムのバグです。この部品を差し替えないようにセットアップのプログラムに手を加えて解決しました。
 このバグもインターネットで探してみると、出るわ出るわ100箇所ぐらいのホームページが見つかりました。ソフトを市販したあと、このバグに出会い、対処法をお知らせする同業他社のホームページが目立ちました。なお、マイクロソフト社のホームページには知らん顔されました。
 実はこの部品、当社のソフトでもセットアッププログラムでも使用していません。なのにマイクロソフト社のセットアッププログラムは新しいものに差し替えてしまうのです。それでバグを出すなんて。はっきり言って「小さな親切、大きなお世話」です。もしかしたら、早く新しいものを買え、という「小さな親切、大きな下心」かも知れません。なにせ社長は商売上手で名が売れた人ですから。
 まだまだバグの事例を挙げればきりがありません。当然当社のバグもあるし、ウィンドウズやワープロソフトなどのバグもけっこうあります。また機会を見つけてご紹介しましょう。
 さて、ひと昔前のMS−DOS時代ならたいていのことは頭に入ったのに、今はとても複雑で、パソコン、ウィンドウズ、アプリケーションソフト、プリンタなどのドライバソフト等々が絡み合って、分からないことが多いのです(老人力がついてきたせいもありますが)。虱潰しの範囲が広がってしまったのです。そこで、不具合の原因探しに当社ではインターネットを活用している次第です。
*1 Microsoft Access95
*2 NIFTY MANAGER 2.0
*3 ATOK11
*4 http://www2.justnet.ne.jp/~yoskon
*5 キヤノンアプテックス株式会社
*6 Offce97 Developer Edition セットアップ  ウィザード
*7 CTL3D32.DLL
*8 Lotus Notes、Adobe Photoshop

 
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